不良漫画の金字塔「 特攻の拓」を紹介します。
今なお人々の心に深く刻み込まれている名作です。
ヤンキー漫画と言えば何?とアンケートを取ったら優勝間違い無しの作品です。
特攻の拓 あらすじ
「疾風伝説 特攻の拓」
原作・佐木飛朗斗 作画・所十三
いじめられっ子の浅川拓は、転校してきた鳴神秀人の圧倒的な強さを目の当たりにする。
その強さに憧れを抱いた拓は、見よう見まねで不良の格好をしてなんとか秀人と仲良くなろうとする。
初めは相手にしなかったが、拓の真剣な態度とちょっぴり見せる男気に少しずつ心をひらいていく秀人。
そんなある日、秀人のトラブルに巻き込まれる形で、拓は校内暴力事件を起こしてしまう。
拓も秀人も事件のために転校せざるを得なくなってしまい、互いの友情を確かめあって別々の道を歩み出す二人。
だが拓の転校した先は、常に暴力事件の絶えない不良達の巣窟「聖蘭高校」だった。
高校デビューの拓に次々と襲いかかるハードなトラブル。
果たして拓は無事に高校生活を過ごせるのだろうか…。
感想・思い出
ヤンキー漫画といえばやっぱり「特攻の拓」ですね。
力の弱い主人公が勇気と幸運でヤンキーの世界で名を上げていくという王道ストーリー。
舞台は湘南・横浜あたりですが、神奈川県を誤解されそうな登場人物の数々。基本的には出てくる人間の9割以上が不良・チンピラ・元ヤンです。
連載が始まった90年台はヤンキー漫画の全盛期。いまよりも子供の数が桁違いに多かった時代なので、真面目っ子も不良少年もとにかくたくさんいました。
当然のように少年誌には不良を主人公にした作品がいくつも掲載。
その中でも特にヤンキー漫画が多かった週刊少年マガジンに「特攻の拓」は掲載されていました。
ただ、連載当時に「特攻の拓」をのめり込んでいたかというと、そうでもありません。
どちらかと言えば他の作品よりとっつきにくかった記憶があります。
まず、登場人物や族の数がやたらと多いです。
キャラも典型的な不良が大多数なので、週刊誌で読んでいると頭に入ってこないんですよね。
もちろん「マー坊」とか「武丸」とか「鰐淵」みたいな強烈な個性のあるキャラは覚えやすいんですが、族の2番手3番手あたりになるとお手上げ。久保島(魍魎)とケージ(鬼雷党)なんかはいまだにゴッチャになります。
後半の極悪蝶やAJSが出てくる頃には、どことどこが敵対しているのかもわかっていませんでした。
結局、後からコミックスで読み直してようやくスッキリ楽しむことが出来ました。
さらにキャラクターたちの独特なセリフ回し。
ヤンキー御用達の当て字とダブルクォーテーション(“)の連発で、意味ありげな発言も多いので理解するのにかなり苦労します。
もっとも、この読みづらいセリフの数々こそが後々まで読者の記憶に残る要因となったことは間違いありません。
いまだに名言として語られたりパロディにされたりしていますからね。
同時期にマガジンで連載されていた「カメレオン」や「湘南純愛組!」に比べると、ギャグ要素は少なめ。
大きなエピソードの間に挟まれるギャグ回みたいなものもありません。
全27巻ですが、拓たちが二年生に進級することもなく流れるように物語が進んでいきます。
完全に一気読み向けの作品です。
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